タイトルを見て、『顧客を減らすなんておかしいだろ?』って思われた方がいるかもしれません。
確かに、美容院に限らず、あらゆる業種において、『売上増加イコール顧客増加』という認識で、顧客獲得に力を入れております。
シンプルに考えれば、全くおかしくありません。
しかし、現実では、顧客増加が売上増加に繋がらないケースが多く起こります。
顧客は増えたが、売上げが思うように上がらない、最悪の場合、売上げが減ってしまう可能性があります。
今日は、『パレートの法則(通称8対2の法則)』というマーケティングでも応用される経験則を踏まえたお話をしたいと思います。
単純ですが、顧客が減少したにもかかわらず、売上げが増加した理由は、客単価がアップしたからです。
『だからといって、客単価が低いお客様を切り捨てるって、どうなんだ?』と言われてしまいそうですが、これは、本当に重要なことです。
『土日に男性客で予約が埋まってしまった。パーマ×カラーのお客様からの予約の電話があったのに。。。』
こういうケースがありますよね。
来店数が少ない日であれば、問題無かったかもしれません。
予約が埋まっている日に、同じような状況が発生すれば、売上げの増減に大きく影響が出てしまいます。
こういった日が多くなれば多くなるほど、単月・年間での総売上に響いてきます。
営業時間は無限にはありませんので、より効率的に売上げをあげる必要があるのです。
パレートの法則というのは、経済学者のパレートが経験に基づいて発見した法則で、経済のあらゆる場面で使われております。
この法則の中で、顧客の来店頻度・購買額を統計すると、売上の80%を、20%の顧客によるものという説があり、美容院においては、コンセプト・ターゲット顧客・メニュー単価によって数字にブレが発生しますが、少なからず、ロイヤルカスタマー(優良顧客層)が売上げの多く占めているはずです。
すでに実践されている方には不要かもしれませんが、データの取り方を説明します。
①一定期間(4・8・12ヶ月)の顧客別売上高を出します。
②同期間の総売上高を出します。
③顧客別の売上高から、顧客別売上高を割って、シェア率を出します。 例)鈴木さん支払額計10万円÷総売上1000万円=シェア率1%
④顧客毎に③の計算を行い上位から順に足していけば、優良顧客だけで6~7割の売上を占めることがわかります。
すごく単純化した表ですが、参考にしてください。
サロンポスを導入されたり、その他の顧客管理システムを入れている方は、このデータはすぐに出せると思いますので、あとは、エクセルを5分ぐらいで出来ると思いますので、ぜひ、実践してみてください。
客単価の低いお客様を切り、客単価の高いお客様の予約を効率的に回せれば、それに越したことはないのですが、お気づきの方もいらっしゃると思いますが、客単価が高いお客様ほど、失客した際の売上減少が大きいというリスクがあります。
だからこそ、切ってばかりではなく、優良顧客・超優良顧客を失客させない為の対策が必要なのです。
失客させない為の対策は、サロンによっていろいろあると思いますが、一番重要なことは、『優良顧客や超優良顧客は、既にサロンのファンであり、気に入っているからこそ、来店されている。』という事実です。
そう、失客させない最善の方法は、優良顧客・超優良顧客の来店動機を聞くことです。
直接聞ければ良いですが、本音を言えないお客様もいらっしゃいますし、聞きにくい場合もあると思います。その場合は、会話の中から、『このお客様は、なぜ、サロンに来てくれているのだろう?なぜ指名してくたのかな?』と感じとることです。
そうすれば、必然とお客様ひとりひとりにあった接客を行うことができ、より質の高いサービスを行うことが出来ます。
優良顧客・超優良顧客の存在・情報をサロン全体で共有化する為の、ミーティングを行うことも有益ですので、おすすめです。
顧客を切るといってもどうやって切るの?そんな簡単じゃないでしょう?となると思います。
確かに、顧客を切るというのは、売上を上げることと反対のことをやるようで、なかなか行動に移せないと思います。
少し、ここで『顧客を切る』ということについて、別のお話をさせて頂きます。
実は、顧客を切るということは、美容院のみならず、あらゆる業種において繰り返し行われていることなのです。
旬な例をあげると、本日、ニュースをチェックしていると『マクドナルドが平日の昼マックを廃止』という記事が出てきました。
原材料価格の値上がりによる、コスト増加の吸収を目的としていますが、何か策を打たない限りは、顧客離れは免れません。
昼食代を500円までと決めている方は行けないですよね。高くなるんだったら、カフェのランチにするっていう方もいるでしょう。
それでも、このまま続けていたらコスト増による利益減になるから、昼マックは廃止するという方針に至ったのだと思います。
話はもどりますが、一番簡単で難しい顧客の切り方は、低価格メニューを廃止することです。
高価格メニューになったことで、来店されなくなるお客様もいると思います。そのお客様のなかには、仲も良くて、話も合って、ずっと通って欲しいと思えるお客様もいることでしょう。しかし、お店の売上を増加させ、継続させることで、雇用を継続させることが出来ます。それは、サロンにとっても、オーナーにとっても、スタッフにとっても、もっとも重要なことではないでしょうか?
『お客様は安くないと来てくれない。喜んでくれない。』という思い込みが、世の中には広がっているように思えます。
確かに、他所より安いと得した気持ちになったり、高いと損した気持ちになることもあります。
しかし、安いメニューが無くなったとしても、継続的に来てくれるお客様はいらっしゃいます。質の高いサービス受け、今まで以上に喜んで頂けるお客様もいらしゃいます。サロンのブランド力が上がり、このサロンに来てるという優越感を持ってくれる方もいらっしゃいます。
顧客を切る方法は、他にもありますが、低価格メニューの廃止は、効果的且つブランド力の向上を考えた上で、重要な策と言えますので、サロンの未来を見据えて、ご検討されてみてはいかがでしょうか?
今回のお話についてですが、ウェブコンサルティングをさせて頂いたサロン様の数字で、前年比(1~6月)売上が1.6倍になったのです。
当初はホームページの新規開設による新規顧客獲得を目的としたお話を頂いていたのですが、面談の際、サロンのコンセプトと客単価にギャップが大きくある事が気付き、オーナー様もこのギャップを埋めていかないと、先が不安とのお話をお伺いしました。
来店者数・内装外装・雰囲気・サービス・オーナー様の方針を確認したところ、非常に質の高いものでした。それにも関わらず、客単価が上がらない理由は、近隣競合店との価格競争による低価格化でした。
そこで、オーナー様と何度も打合せを重ね、売上を上げる為に、価格で短期的に集客するのではなく、中長期にはなるが、ブランディングを行い客単価を上げて、売上増加を計るということになりました。
そこで、まず顧客を切る為に行った主な施策は、格安ネットクーポンの廃止です。いきなり各メニュー単価をアップさせることは、リスクが大き過ぎると判断した結果です。まずは、新規顧客を選別することにしたのです。
この格安クーポン廃止の効果はすぐに現れました。格安クーポンにより集客はゼロになりましたが、もともと単価が低かった事と、集客力に乏しかったことから、月間売上に大きな影響はなく、格安クーポンによる急なネット予約がなくなったので、リピーターの稼働率があがりました。
その後は、ブランディングと格安は止めるという意識から、サービスが向上したことにより、売上が増加していきました。
短期間で大幅に増加したことについては、驚きましたが、、、
オーナーいわく、『美容院しかないから、背水の陣だと思って頑張っている。』とのお話でした。
この言葉には、グっときました。
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